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「あなたの会社が重視している顧客層はどんな方達ですか?」
高級婦人服を百貨店中心に企画販売されている年商約20億円の企業にお伺いし社長に尋ねた。「50代・60代の、高度成長期を担った方々の家庭を支えてこられた奥様方をターゲットに、人は歩んだ人生の数だけ美しい・すばらしい高級婦人服 をテーマに、ご旅行や観劇・レストランでのお食事など、ご自分にとって大切な“ひと”“こと”との時間を大切にお過ごしいただける優しさあふれる商品を提供しています。」と答えが返ってきた(たとえば、カシミヤの冬用のジャケット10万円程度でした)
数百億円・数千億円・数兆円の組織小売業で、品揃えが広くて全ての生活者にワンストップ・ショッピングの利便性と価格競争力のある商品調達・オペレーションで価格の魅力を全てのお客様に提供していると・・・・これは経済成長期の1990年代ぐらいまでは、通用したでしょう。
急速にマーケティング戦略主体としての地位を高めた組織小売業の、現状は、総合スーパー(GMS)・スーパーマーケット(SM)・ホームセンター(HC)・ドラッグストア(Dg.s)・ディスカウントショップ(DS)・オートセンター・家電量販店など業態間競争も含め、図表2-1 M.Eポーターの3つの競争戦略のうち多くの企業が「1.コスト・リーダーシップ戦略」・「3A.コスト集中戦略」に偏重し、価格競争で売り上げ確保に走ることが多い。
他社と同等かあるいは望ましい価値品質と認知されなかったら、売り上げを確保するには、競争相手以下の価格に下げざるを得ない。
コスト・リーダーといえども、差別化への事業展開の要素は無視できないが、収益を圧迫・悪化させる販売価格競争に終始してしまっている。
基本戦略として「コスト・リーダシップ戦略」を指向する企業は、広い範囲のターゲットを持ち、多数のセグメントに向け販売する。ときには関連業界にまで手を伸ばし・・企業がどれだけ幅広く営業するかが重要になる。
「差別化戦略」は、ターゲット顧客からライバル企業とは「異質」な特性が評価・選好されなければ、収益性は向上しない。・・・・現在の状況は顧客を主体としない「不毛な価格競争」と言える。
集中戦略は、業界内の1つまたは少ないセグメントを選び、そこに集中して適合するようにコスト優位を築くなら「3A.コスト集中戦略」・差別化を探し築くなら「3B.差別化集中戦略」の2つがある。
どちらも、狙ったセグメントと業界内のその他のセグメントの間にはっきりとした差異を作らなければならない。また、狙ったセグメントが構造的に魅力度が高いことが必要条件である。
米国での成功者も、ウォルマートも日本の組織小売業との提携で芳しい成果をまだ上げられず、日本市場に進出すると言われながらいまだ実現していないホームデポなど彼らもまだ一段の進化がなければ日本市場で成功者になれないのが現状である。
日本的な商習慣もあるだろう、さらに日本の組織小売業の多くが企業体質として中央集権・中央集中処理型のチェーンストア・オぺレーションであることも問題としてある。
市場が成熟し、経済成長が長きに渡り今後も停滞が長引く日本の市場環境と、IT産業等で長きに渡り経済成長し翳りは見えるもののまだ成長している米国の市場環境は異なる。そのため「コスト・リーダーシップ」戦略が利かず、「差別化とコスト優位の複数の戦略をいかに追求するか」に対応する方法がいまだ見つかっておらず米国の成功者等も日本で成功できないでいる。
狙ったセグメントにおいて、「コスト優位」と「差別化」の両方を達成した例は製造業でいくつかあるが、広いターゲットで両立することは容易ではない。(だから、コスト・リーダーシップと差別化を同時に達成できれば、得られる収益は桁外れに大きい。)
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コスト・リーダーシップと差別化を同時に達成するには3つの条件がいくつか揃うことが必
要である。
@競争相手が戦略を見失って窮地に立っている。
Aコスト地位が市場シェアまたは他事業との相互関係で決まる場合。
B大きなイノベーションを率先してやり遂げた場合。
Geomarketingを使いながら、これをクリアーしていく経営戦略の枠組みを提案する。
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