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「Geomarketingをご存知ですか?」と質問すると現在の日本では「聞いたことはないが、日本のエリアマーケティングのようなものでしょう」と答えられる方がほとんどだろう。確かにGeography:地理・地勢の言葉のように、言葉からのイメージは似ているが、異なるものだ。
デモグラフィック・データは、人口・世帯データなどすでに分析し活用していると言うかもしれないが、不十分なレベルにあることが多い。
a)世帯主年齢階級別、世帯年収階級別、住関係の様々な分類別、職業等の分類別
b)品目別消費支出、耐久消費財等の保有状況、サービスへの支出
など、年齢や収入・どんな家族の世帯の人がどんな商品をいくら消費しているか・どんな商品をどれだけ所有しているかなども、元になるデータは国が調査し提供してくれてる。
出店立地調査などに使われるメッシュデータだけでなく、多変量解析にも耐える有用なデータが多くある。
人口統計学的なデモグラフィック・データを比較分析すればよいのではありません。デモグラフィックスによって単純に市場を細分化しても、マーケット・セグメントを構成する人達のニーズ・選好・価値観などなどの傾向は見えてこない。
グラフィックスごとの消費実態(ウォンッツ:何を求め購入したか)を比較分析しニーズ・選好を推定し、可能な場合は多変量解析によって価値傾向を読み取りするところまで「Geomarketing」では行う。
社内のPOSデータ・顧客購買データ(ポイントカード等メンバーカードで購買履歴管理できていれば)も、市場全体での消費実態データ分析から得られた傾向値をベンチマーク基準にし、分析検討すべきである。社内データ分析だけでは不十分なのだ。
欧州で盛んな「Geomarketing」をなぜ取り上げるのか。
組織小売業の先進地といえば、アメリカだろう!・・私もそう思っていた。
私はマーケティングとコンサルティングの会社に15年勤め、独立後毎年アメリカの小売業を訪ね歩き8年になる。アメリカにも日本と同じく国が調査したデータが様々ありそれを入手し整理分析し、直接訪問し観察・検証してきた。
一方で欧州諸国も、1990年代初めすでに、組織小売業の小売集中度は高く、食品のカテゴリーで上位10社の組織小売業が占める割合は次のようなもので、現在の日本以上に成熟したレベルにあった。
@デンマーク95% Aオーストリア93% Bスイス88%
Cオランダ80% Dフランス73% Eイギリス71%
Fベルギー70% Gドイツ67% Hイタリア54%
(資料:A.C.ニールセン,M+Mユーロデータ、ドイチャー・ファッファフェアラーク)
欧州が成熟し、カルフールやB&Qは海外に成長機会を求め、それまでと同じマーケティング展開でASIA(台湾・中国等)に進出した。
カルフールは台湾で成功し中国でも積極的に展開し成長しているが、今年2005年、日本市場からの撤退を決定した。
米国勢も、ウォルマートは提携による日本進出で芳しい成果を得られていない、ホームデポも日本進出をペンディングしてしまった。
日本の現状は以前の欧州に似ており、米国の経営学やマーケティングは欧州でもベースにある。日本以上に成熟し、経済も停滞している欧州にあって成長している企業が「Geomarketing」
を展開していると言う企業が小売業だけでなくメーカーにも多くなって来ていた。
私は、成熟し停滞した日本の市場でこれから企業が成長するためのヒントがあるのではないかと「Geomarketing」に注目してみた。
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