ブランドマーケティング、ブランドマネジメントの経営コンサルティングのMCプロジェクト(MCP)

9.デモグラフックタイプ別顧客購買行動仮説のたて方

 一次加工された「顧客購買データ」でどこまでデモグラフィックタイプ別の購買行動が分析・読み取りできるのか、どのようにするのか。
家計調査の食品関連のデータが、顧客購買データに近いので例題的にこれで「顧客購買データ」の分析の一例として説明する。

1)目的に合った顧客購買データの分析
 顧客基本属性と顧客購買履歴(いつ、どの商品を、何個買った)というデーターから何を導き出そうとするのか、目的を明確にしなくてはならない。

 ●どんな属性傾向の顧客層が、その属性の違いによって何を買う傾向に  あるのか・・・・どの商品がそのターゲット属性の顧客に対するマーケティング展開で大切な商品なのか

これが分かれば、マーケット・ポテンシャルにあった店舗の集客コミュニケーションや店舗レイアウト・MD・インショップロモーション・接客等の仮説が組めるようになるだろう。
 マーケティング分析の担当者が精緻に顧客の購買動機や購買決定要因やサイコグラフィック特性(心理学的顧客特性)を明らかにしても、現場で具体的にどうしたらいいんだというような報告書を目にすることがある。
現場に役立つ具体的な検討ができ、何故そうなのかを考え顧客理解につながるようにしなければならない。

 「店舗の差別化を図るターゲット顧客層に買われる傾向にある商品はなにか」=結論が商品分類として現れる分析が現場ではより役に立つだろう。

 家計調査では、世帯主年齢階級・世帯収入階級別の商品品目別の1世帯あたりの年間消費金額データがある。自社が持つ「顧客購買データ」もこれに準じたデータ形式に1次集計分析すれば次に示す分析方法が使える。

@当該属性1世帯あたり年間消費金額÷母集団1世帯あたり年間消費金額 のデータにクレンジングする(属性傾向を示すデータに統一する)。
A世帯主年齢階級・世帯収入階級などの属性階級を変量データとして、「主成分分析」を行う。
B主成分得点から、商品を分類する。

金額データのままではなく、属性による差を捉えるようにし、データ変量の在るがまま(誤差を含んだまま)再現性をよりどころに合成変量として主要な成分を要約する主成分分析し、商品を分類する。
このような分析手法を今回は行った。

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価格によるチラシ集客・価格による顧客誘導を否定するものではない。
ターゲット顧客層が、より魅力あるチラシ、より魅力ある店舗・売場と感じる要素を作る
ために大切な商品を明らかにするものである。

価格競争偏重から、顧客満足を高め・顧客シェアを高め・顧客価値のより多くの支出を
自店・自社に向けてもらう・・・・顧客重視の差別化を図るための大切な商品である。
必数商品で価格競争をしながら、顧客購買点数・単価アップを図り、かつ顧客満足度
を高め他店への顧客流出を下げるためのマーケティング展開の重要商品を明らかに
する。

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2)ターゲット顧客層にとって重要な商品を発見する方法

@主成分分析
 家計調査の食品関連について一つの例として、前項の分析方針に沿って属性階級を変量データとして主成分分析を行った。

 ●非常に説明力の強い軸=主成分No1
  世帯主年齢階級ギャップ
  ・主成分スコアが+側に値が大きい食品=20代・30代・40代
  ・主成分スコアが−側に値が小さい食品=70代・60代
  に消費される傾向が強く、世代間ギャップを示す。
 ●次に説明力のある軸だが弱い説明力の軸=主成分No2
  世帯人員数(消費量)ギャップ
  ・主成分スコアが+側に値が大きい食品=20代・70代(世帯人員少)
  ・主成分スコアが−側に値が小さい食品=40代(世帯人員最多)
  に消費される傾向があり、世帯人員との関連が大きい。
 ★主成分No3は世帯収入差による消費の傾向差を示すものだったが、非
  常に説明力の弱いものであった。

 食品というのは 2)商圏デモグラフィックタイプ別のマーケット・ポテンシャルの@で見たように、他の商品分野と比べ比較的世帯年収格差によ
る支出金額の差が少ない商品群であった。食品は年齢世代間ギャップがマーケティング展開の違いを持たせる上で重要な要素となる。
食品以外の「衣料」「カー用品」「家事用品」「リフォーム」などは、世帯収入の説明力の高い主成分が抽出されるだろう。これら商品分野は年齢世代間ギャップだけでなく世帯収入ギャップがマーケティング展開の違いを持た
せる上で重要な要素となるだろう。

 つぎは、この主成分分析で抽出された主成分の品目の主成分スコアから
  イ)20代・30代・40代のファミリー世帯 or 70代・60代
    の高齢者世帯かに消費される傾向の強い食品品目
  ロ)世帯家族数の少ない世帯 or 世帯家族数の多い世帯かに消費さ
    れる傾向の強い食品品目
に特徴のあるものだけを抽出する=ターゲット顧客層に対する「店舗の特徴をアピールする重点商品の候補」(差別化対象商品)を発見することができる。




Aターゲット顧客層と店舗の特徴をアピールする重点商品の候補商品
 
 横軸が「高齢者」−「ファミリー」、縦軸が「少人数」−「多人数」の主成分軸として、各食品品目の主成分スコアを散布図にしたものが図2-8である。
どこでグループ分けするかは、クラスター分析で行うことも可能だろうがここでは縦軸・横軸の分布の変化が大きいところをグループ境線とした。
 その結果、次のようなターゲット属性に対して「店舗の特徴をアピールする重点商品の候補」を分類することが出来た。
 ●「高齢者世帯」・・・・世帯主年齢60代以上の子供も独立した世帯
 ●「ファミリー世帯層」・・・・世帯主年齢20代〜40代の子供のいる世帯
 ●「ファミリー少人数世帯」・・・・世帯主年齢20代の乳幼児のいる世帯

注)中央の黒い四角のあたりが、どの顧客層にも購買され売上げも上位に来る売れ筋商品。



A )ファミリー少人数世帯
 今回のデータでは「粉ミルク」であった。この他に乳幼児向け「離乳食」・「飲料」などの品目があれば含まれていたであろう。
20代ぐらいの乳幼児がいる家族が多い地域は多くはないが、マーケット・ポテンシャルでこれに該当する店舗では、他店と差別化を図ることができる来るだろう。

B)ファミリー世帯
 イ)その他の××が含まれる、「パン類」「麺類」「主食調理食品」などはこ
   の層に合った品揃えの充実が重要であり、肉類の加工品・弁当・冷
   凍食品などを含め、手早く簡単に食事・弁当ができる商品群。
 ロ)挽肉・乳製品・調味料など、子供と親が一緒に食べられるメニューに
   関する商品群。(ワンプレート・大皿などのメニューが多い)
 ハ)洋菓子・スナック菓子・コーヒー飲料・炭酸飲料など、子供向け間食・
   おやつに関する商品群。
 二)パン・ベーコン等肉加工品・バターチーズ等乳製品・果実野菜ジュ
   ースなど、手早く簡単な朝食になる商品群。
 ホ)発泡酒・他の酒、大人用の酒類は低価格商品の傾向が出ている。
 これら商品は、品揃えの差こそあれ扱われているが、集客や店頭づくりなどに意図してこの層を狙った展開が行われていることは少ない。商品の扱いはあるのだが、他店との差別化を図る商品とは位置づけられていない。



C)高齢者世帯
 イ)他の××が含まれる「鮮魚」「野菜海藻の佃煮」などはこの層にあった
   品揃えの充実が重要であり、主菜は「刺身盛り合わせ」にあるように
   少人数家族で主菜に出来る少量パックが好まれ、副菜も漬物・佃煮
   魚介の漬物など日持ちし少量ずつ使える商品群。
   ・・・・「砂糖」があるが乾燥豆類や野菜海藻の佃煮も自分で作る、鮮魚
     も煮つけと関係があり鮮魚の品揃えに注意が要る。
   (家族も減り、主菜・副菜・汁ものなど1品一鉢の料理)
 ロ)だし用の乾物・乾燥豆類・干ししいたけなどの乾物など、昔ながらの
   味の基本と常温ストック食品に関する食品。
 ハ)果物・果物加工品などと、和菓子と緑茶などこの層に合った品揃え
   の充実が重要であり、この層にとっては「おやつ」であるとともに
   「おもてなし用」でもある商品群。
 ニ)酒類では、「清酒」「国産ウイスキー」の品揃えがこの層には重要であ
   る。(普段使いのお酒として)
これら商品は、品揃えの差こそあれ扱われているが、集客や店頭づくりなどに意図してこの層を狙った展開が行われていることは少ない。団塊の世代を含め、都市近郊部でもこの層が今後多くなる。昭和の年代に出店していたエリアの既存店舗はこの傾向にある。しかし、商品の扱いはあるのだが、他店との差別化を図る商品とは位置づけられていない。




 現在、組織小売業が価格競争で商圏顧客を奪い合う主戦場としているのは、図2-8の中央部のどの顧客層にも購買され売上げも上位に来る売れ筋商品の分野である。・・・「来店客数」を上げマーケット・シェアを拡大する。

 差別化の重要なポイントは、ターゲット顧客層にとって重要な商品から顧客理解を深め、集客コミュニケーションや店舗レイアウト・MD・店頭コミュニケーション・インショップロモーション等を重点ターゲット顧客層に合った展開を徹底することにある。

 ●「集客コミュニケーションも季節性等考慮し計画的に実施している」
 ●「品揃え充実させ取り扱いカバー力を強化している」
 ●「陳列・レイアウトも購買頻度等考え売場設計している」
 ●「コミュニケーションツールも充実させている」
 ●「インプロも顧客購買刺激するよう種々計画的に実施している」
 
これらがマス・プロモーション、マス・マーチャンダイジングでは、差別化は図れているとはいえない。
各店舗の商圏のマーケット・ポテンシャルで店舗グループ化し、各商圏のマーケット・ポテンシャルにあったターゲット顧客層に対して差別化の施策が展開されていなければならない!・・・・「顧客シェア」の向上施策これは食品分野に限ったことではない。

注)消費支出から食品全体に占める金額割合は、B)ファミリー世帯に重要な商品は18%、C)高齢者世帯に重要な商品は15%となっている。
































































































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