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1)今が売れ筋商品の価格競争中心の顧客争奪消耗戦の終焉のときだ!
日本の消費財市場も、消費支出が伸びてきた1990年ごろまでは「消費の成熟・消費の多様化」など専門家から注意喚起されながらも成長してきた。その後も、組織小売業は新規出店を積極的に展開しマーケティング戦略主体としての地位をさらに高めた。(資金調達力を背景に既存店ベースの落ち込みは新規出店で辛うじて成長させながら地位を高めてきた。)
図表2-2のグラフ-1は、ある大分類商品カテゴリーの大阪府下市区町別の市場規模と世帯数の関係を示したものです。(総務省統計局の家計調査と国勢調査や住宅土地統計調査などの大阪府下の市区町デモグラフィック分布から市場規模を推定することができる。)
多くの組織小売業が、商圏人口(世帯数)・商圏人口(世帯)増加などをもとに、ハフモデル(大規模小売店の集客力をもとにどのエリアの購買者がどの地点に買い物に集まるかを予測し出店時の売り上げ予測をするモデル)などを活用し、商品販売の完結する場=店舗を出店してきた。
市場規模が大きければ、売り上げも大きい=規模の経済性を追求し、コスト・リーダシップを基本戦略とするならば正しい。
商圏人口・世帯数が大きく今後伸びるエリアは、グラフ-1が示すように市場が大きく・成長性もあり消費市場・消費支出が伸びる限り成長するチャンスは大きかった。
首都圏周辺都市部(神奈川県・埼玉県・千葉県の東京隣接都市部)・愛知県豊田市周辺部・政令指定都市周辺都市部はまだこの傾向を残すが、この地域は同業態だけでなく周辺業態も含め競合店がひしめき激戦区となっている場合が多い。また大手組織小売業はその他地域に多くの店舗を持ち、消費の多様化の進展だけでなく消費市場・消費支出が衰退するなか価格競争による顧客争奪戦を繰り広げ消耗戦を戦っている。
2)コスト・リーダーシップと差別化の同時達成のポテンシャル
日本の消費財メーカーも従来のマーケティングや経営戦略・管理は欧米企業に大きく劣るものではない。組織小売業もローコストオペレーションやMDで欧米企業に大きく劣るものではない。
組織小売業の多くが企業体質として中央集権・マス型のチェーンストア・オぺレーションを確立し比較的多くの組織小売企業が一定の成功点まで到達してしまった。しかし、経済環境・顧客環境が変化しその変化への戦略的対応がとれないまま「売れ筋商品の価格競争による顧客争奪消耗戦」で来るところまで来てしまった。NB商品の売れ筋を安易にPB商品化することまでして価格競争に走り、大きな在庫負担・デッドストックに行き詰っていることが多い。また、既存店の収益改善は先が見えていない。
コスト・リーダーシップと差別化の同時達成の条件は揃ってきている。
@多くの組織小売業が、「売れ筋商品の価格競争による顧客争奪消耗戦」に 終始し戦略を見失い窮地に立っている。
その納入業者(メーカー・卸)も、販売の現場・顧客接点でのマーケティ ング力の不足から急速にマーケティング戦略主体としての地位を高めた組織小売業に翻弄され窮地に立っている。
1つの条件は揃っている、2つ目の大きなイノベーションを率先してやり遂げた場合・・・・これをいかに揃えるかである。
A「客数アップ=市場シェアアップ」の部分は中央集権・中央集中処理型の チェーンストア・オぺレーションを機能させながら、「顧客シェアアップ=ターゲット顧客層の期間購入金額アップ・購入商品点数アップ」を図
るターゲット顧客タイプ別ストア・オペレーションを確立させることが出来れ ば、コスト・リーダーシップと差別化の同時達成する可能性がでてくるだろう。
図2-3のように、どの顧客特性の顧客層をターゲット顧客とするか明確にしなければ、顧客シェアアップは図れない。
顧客層によって「ウォンツのある商品」も「魅力的な売場」も「好ましい店頭コミュニケーション・接客」も異なる。差別化を図るために店舗の商圏の顧客構造を理解し、ターゲット顧客層のタイプごとに「どんな集客広告」「どんなMD・売場」「どんなインプロ」をすべきか明確な方針・計画・実施策が用意され、販売の現場の現場に教育し権限委譲し実行されなければならない。マーケティング・マネジメントの仕組みや組織体質・体制は簡単にはできないだろう、だからこそ2つ目の大きなイノベーションを率先してやり遂げた場合、の条件を満たすことになる。
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