ブランドマーケティング、ブランドマネジメントの経営コンサルティングのMCプロジェクト(MCP)

11.フィールド・サーチによる売場仮説づくり


 マーケットポテンシャルから店舗タイプのターゲット顧客層と、ターゲット顧客層に対する店舗の特徴をアピールする重点商品を、明確にできたら、フィールド・サーチでターゲット顧客と重点商品にかかわる顧客行動
を洞察し、ターゲット顧客に合った集客コミュニケーションや店舗レイアウト・MD・インショップロモーション・接客等のマーケティング戦術仮説を立て、展開計画を作成しテストマーケティングを行い、成果を検証・
戦術改善・戦術工夫をする。
 ターゲット顧客にとって、顧客課題・顧客コスト・顧客利便性・コミュニケーションという顧客のマーケティング・ミックスの4つのCと、製品戦術・価格戦術・売場戦術(以前は流通戦略)、プロモーション戦術という提供側のマーケティング・ミックスの4つのPがどの程度一致し成果を生み出したのか。

1)集客コミュニケーションのコンバージョンレートを高める

 集客手段・訴求内容の結果、ターゲット顧客層が集客コミュニケーションの手段・内容の訴求する商品やサービスを以前よりもどれだけ多くの人数・比率でコンバージョン(交換=購買)してくれたのか?
価格訴求だけでなく、ターゲット顧客にとって魅力ある商品が価格訴求を含め集客でき実購買につながったのか、集客の製品戦術・価格戦術・売場戦術(以前は流通戦略)、プロモーション戦術の有効性を、フィールド・サーチでターゲット顧客と重点商品にかかわる顧客行動を洞察しなければならない。
=価格訴求でマス顧客をいくら数多く集客しても、チェリー・ピッカーばかり増えていないか?

 チェリーピッカーとは、ブライン・P・ウルフの顧客識別マーケティングという著書の中で「あちこちの店で特売品を買い回る客、おいしい実=チェリーを摘む人という意味」の顧客である。
この著書の中では、価格訴求によるチラシ集客をかなり否定的に扱っている。しかし、価格訴求による集客は日本の販売の現場にとって簡単に否定できるものではない。

 ターゲット顧客層を集客し、ターゲット顧客層の購買頻度・購買金額・商品点数をアップできる店舗レイアウト・MD・インショップロモーション・接客等のマーケティング戦術を展開することが重要である。
集客できた顧客層が、購買金額・商品点数をアップさせる店舗レイアウト・MD・インショップロモーション・接客等のマーケティング戦術のターゲットとズレテいれば、マーケティング戦術は水泡に帰してしまう。
 現実は、集客商品で売上げを作ろうと組織小売業の本部は躍起になっている。しかし現実は価格訴求のマス集客コミュニケーションは過当競争の中で効率が落ちている、だから既存店は収益性の足を引っ張っている。
・・・・大切にする顧客層(ターゲット顧客層)の購買頻度・購買金額・商品点数をアップが重要である。

********************************************************************

 ターゲット顧客層の集客商品のコンバージョンレートを高める、集客手段・訴求内
容の仮説を立てテスト検証を意図的に行う必要がある。

********************************************************************

たとえば、60代以上の世帯をターゲット顧客層にした時、チラシの精肉の商品訴求・価格帯・パッケージ量などどういうものがいいのか、実際にテスト・マーケティングを行いフィールド・サーチすれば明らかになるだろう。 


2) 売場顧客密度のチェック・買い物客の滞留時間

 商品の販売効率は、組織小売業では交差比率(粗利率×回転率)で管理」されているが、売場のゾーニングや棚構成など売場作りの効率は十分管理されているとはいえない。私自身が実際に多くの売場を観察しフィールド・サーチするとそういう結果が多い。
売り場顧客密度のチェックは、時間帯を決め、「どの売場」に「どのターゲット層の顧客が」「何人」いるかをカウントするものである。
売場レイアウト図を作り、顧客密度をプロットすれば図2-9のような問題のある例が多い。(図2-9は、デフォルメした例)

 ホームセンターやカー用品専門店などでは、よくAのように売場中央に売場顧客密度が片寄っているケースを目にする。顧客の買い物動線が短く買い物客の滞留時間も短くなる傾向にある。
商品は売場に広く陳列されているが来店客の動線部分しか商品は視界に入らず手に取られることもなく販売の機会損失は非常に大きい。



 スーパーの食品売り場は、購買頻度をよく考えゾーニング・サーキュレーション・レイアウトをしている方だが、売場中央のグロサリー等の売場に顧客誘導が十分出来ていないBのようなケースを目にする。
結果はAと同じ販売の機会損失を生じさせている。

 商品のカテゴリーマネジメントは重要で各組織小売業も工夫しやられていることだろう。しかし、ゾーニング・サーキュレーション・レイアウトなどが意図どおりに機能しているか、設計した本部担当者が実際に店頭で
来店客の動きを検証しているケースは少ないだろう。
ターゲット顧客層の、買い物動線が長くなるように=販売の機会を増加させる、ゾーニング・サーキュレーション・レイアウトの改善・工夫を重ねているだろうか?
店舗のマーケット・ポテンシャルのタイプが異なれば、ターゲット顧客層も異なってくるが、ゾーニング・サーキュレーション・レイアウトはマーケット・ポテンシャル、ターゲット顧客層に合ったものとなっているだろうか?

 Aのような売場は、購買頻度の高くない商品を多く扱う組織小売業に多いだろう。
食品のように購買頻度の高い生鮮3品を外周に配置し、中央にグロサリー等を配置するなど、来店客のサーキュレーションの設計が容易ではないかである。
ショッピング・ゾーン(売場)を、ターゲット顧客層・使用シーン等いくつかのキャッチメント・ベイズン(CB:集水域)売場に分け、CB売場の配置でサーキュレーション・レイアウトを巧妙に設計するなどの工夫がいるだろう。 

 たとえば、カー用品専門店のターゲット顧客層が50代の人としたときのサーキュレーションの設計仮説の一つとしてこんなことも有り得る。
50代のターゲット顧客層の支出の大きいタイヤ・バッテリーなどの高額消耗部品を入り口奥にキャッチメント・ベイズン(CB:集水域)売場として設置し、接客も出来るスペースを持つコーナーにし、そこに至るまでの
棚をターゲット層を狙った商品の構成にする。
20〜30代の従来からの顧客層は、売れ筋カー用品商材を売場中央から入口を入って左奥に設置しセルフのCB売場にし、そこからよく見渡せる奥に彼らの高単価商品カーAVをCB売場として設置し、接客も出来るスペースを持つコーナーにし、そこに至るまでの棚を20〜30代を狙った商品の構成にする。



●移行ゾーン
 入り口を入ってすぐは、どんなメッセージも商品も顧客は注意を払わない。入り口脇にパワー・ディスプレーを配置し「買ってください」ではなく、「足を止めて見てください!そしてあなたが向かうべき通路に進んでください」と言ったニュアンスのパワー・ディスプレーで客を迎え入れ、いらっしゃいませと声をかけ、誘惑を開始する・・・・などの工夫がいる。

●キャッチメント・ベイズン(Catchment Basin)
 奥まった場所を作り、買い物客が通路の通行客に邪魔されず心おきなく商品を眺め手に取り買い物できる場所のことである。
来店客を誘い込んで買い物を長びかせることに役立ち、人が溜まっているところに客足も向く傾向があり動線誘導にも役立つ。
 商品カテゴリーにこだわることなく、関連商品を一つの売り場にまとめるという発想がある。このような手法をクロスマーチャンダイジングという。大きな店舗を全面的にクロスマーチャンダイジングすることは困難である。CB売場でクロスマーチャンダイジングを展開する ことが出来る。

********************************************************************

ゾーニング・サーキュレーション・接客・・・・ターゲット顧客層によって買い物がしや
すい設計・企画が大切である。来店客は店舗内を回遊し、ターゲット顧客層を狙っ
たゾーニング・サーキュレーションを組み合わせ店舗の売場を構成し、テスト検証
しなければならない。
高額商品の売場は、接客を伴うことで売上げが大きく伸びる。セルフの店舗であ
っても、高額商品の販売を伸ばすには一部のキャットメント・ベイズンを接客販売
の場所として店舗管理しながら接客できる場所を設け、テスト検証すべきだ。

********************************************************************



3) ブーメランレート・プロセス率

 ブーメランレートとは、来店客が通路の端から端まで歩かなかった回数の割合である。4〜5m先にターゲット層にとって関心を引く商品・メッセージの訴求が見つからないと通路を引き返したり、必要な商品以外見ようとしなくなってしまう傾向がある。
ブーメランレートが高いと、買い物客の動線が短く・滞留時間も短くなり、販売の機会損失は大きくなる。

 プロセス率は、足を止めて商品を見る回数・手に取る回数・クロージャー率などがある。マーチャンダイジングで、商品を陳列棚とは別のところに置く・もっと微妙な技術と「隣りあわせの法則」の利用、POPや販促
マテリアル・商品ディスプレーなど店内コミュニケーション活用が、ターゲット顧客層にマッチしていなければ、プロセス率は低下する。

 関連商品を一つの売り場にまとめるクロスマーチャンダイジングに類似した方法で、ターゲット顧客層にあった売場通路の設計がある。ターゲット顧客層の特徴的な商品群で通路を設計すると言う現実的なものである。

●「ターゲット顧客層通路売場」を一部配置する(隣りあわせの法則)
下図2-11のように食品売り場の仮説例では野菜等の通路も世帯人数の少ない「高齢者世帯層」向け少量パックと通路向かいに「高齢者世帯層」に特徴的な商品群、中央棚の一部も赤線部の「高齢者世帯層」に特徴的な商品群の通路・棚を配置する。

 商品を陳列棚とは別のところに置く「クロスセリング」も行われているがその店舗のターゲット顧客層を明確にしたものがどの程度あるだろう?

●ターゲット顧客層に向けたクロスセリング 
下図2-8の食品例では、黒枠内のどうのどうにも支持される商品の中でのクロスセリングが多い。
ターゲット顧客層に特徴的な商品のクロスセリングがあまりにもなさ過ぎるのが現状だろう。 






 マーチャンダイジングの「隣りあわせの法則」「クロスセリング」においてターゲット顧客層をより明確にしたものであるべきだ。

 例に食品売り場を取り上げたが、まだこの分野は「ゾーニング」や「サーキュレーション」も含めよく出来ている分野だろう。
実際にグループインタビュー等を実施すると、非常に厳しい意見が出てきている。

たとえば、ホームセンター(HC)で扱いの多い清掃用具・洗濯用具・家庭用工具など「その他家事雑貨」は30代をピークに「世帯年収」の高い層ほど消費支出金額高いが、「ホームデコレーション」に関して厳しい意見が出る。
 「HCにはほしい商品がない、雑貨専門店なら高くてもほしい商品があるから・・・」。ここで言われている雑貨専門店はたとえば有名な地域では東京自由が丘にあるようなこの年代の女性に強く支持されている雑貨専門店のイメージである。各地域でもショッピングセンター内などにある雑貨専門店も平日この年代の女性が来店しているのを見かけるだろう。
「ホームデコレーション・ニーズ」は現にあるが、ホームセンターには「ホームデコレーション・ウォンツ」を沸かせるものがないと言っている。
商品カテゴリー分けされた売場構成で「ホームデコレーション・ニーズ」を持つターゲット層に合った「ゾーニング」や「サーキュレーション」・「隣りあわせの法則」「クロスセリング」が出来ていないのである。
 ドラッグストア(Dg.s)も、40代・50代の多い地区のDg.s は再社会進出する40代・50代の「美容用品・美健関連」で差別化をはかれるマーケットポテンシャルがあるにもかかわらず、同様の傾向にある。
 ゼネラル・マーチャンダイズ・ストア(GMS)の衣料品等も同様の傾向にある
以前の成功例であるKマートのホームファッション系ソフトグッズのデザイナーブランド「マーサ・スチュアート」のように、衣料品のデザイナーズブランド商品の開発が日本の組織小売業でも進められている。
「ゾーニング」や「サーキュレーション」・「隣りあわせの法則」「クロスセリング」の新しい展開も図られることを期待する。

 店頭に商品が品揃えしてあっても、ターゲット顧客層にアピールする「ゾーニング」や「サーキュレーション」・「隣りあわせの法則」「クロスセリング」になっていなければ、顧客のニーズを店頭の商品でウォンツに換えられない・・・・販売機会をロスしている。

 POPや販促マテリアル・商品ディスプレーなど店内コミュニケーション活用が、ターゲット顧客層にマッチしていなければならない。
いくら企画段階で熟考されたものでも、店頭で来店客の目に留まり・メッセージが読取られるものでなければ役に立たない。
商業メッセージツールの半分はフロアに出ることもないと言うような調査データすらある。フロアに出ても、実際に来店客のどの程度の割合でどんな顧客層の人が何秒眺めたか・・・・現場で検証されていない。
来店客を誘導する店内メディアの多くは、見てもらえても3〜5秒も眺められたらいい方である。 

********************************************************************

カテゴリーマネジメント一辺倒から、ターゲット顧客層の関心を引き購買を刺激し
ながら通路の置くまで買い物客の動線・滞留時間を長くし販売の機会を増加させ
る「隣りあわせの法則」「クロスセリング」などマーチャンダイジングを展開し、テス
ト検証しなければならない。
来店客を誘導するツールは、実際にフロアの現場でターゲット顧客層の買い物
動線を辿り、適切な場所に適切なメッセージを配置して、テスト検証しなければな
らない。

********************************************************************





































































































































Sitemapブランドマーケティング、ブランドマネジメントの経営コンサルティング、MCプロジェクトのサイトマップ RORSitemapブランドマーケティング、ブランドマネジメントの経営コンサルティング、MCプロジェクトのRORサイトマップ XMLSitemapブランドマーケティング、ブランドマネジメントの経営コンサルティング、MCプロジェクトのXMLサイトマップ  株式会社MCプロジェクト Copyright(c)2003 MCProject Co.,Ltd