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顧客に関する洞察:Customer insight・・・・顧客のニーズや選好・行動にに関して深い洞察を得た企業が、競争上優位な立場に立てる。
ターゲット顧客層にとって差別化に重要な商品が分析で得られても、重要と感じなかったり、なぜターゲット顧客層にとって重要なのかが分からなければ、競争上優位な立場に立てない。
顧客の声を収集している企業も多いだろう、ターゲット顧客のグループに対して話す機会を継続的に持っているところもあるだろう、それで顧客理解できているなら差別化に重要な商品の顧客理由はある程度は分かるはずだ。
顧客に関するより深い洞察を得るには次のような方法がある。
1)フォーカス・グループ・インタビュー
2)顧客サーベイ
3)デプス・インタビュー
4)フィールド・サーチ
(店頭や家庭等の使用場面での観察・インタビュー)
1)フォーカス・グループ・インタビュー
4〜10人程度のターゲット顧客の高感度な人をリクルートし集まってもらい、専門のインタビュアーが特定のテーマについてグループで語り合わせて、深く多くの情報を得るものである。
主として消費者のニーズや、ものの見方や態度、消費者の行動を深く探るのに有効な手段である。ただし、ここで得られた情報がターゲット顧客全体の特徴とみなしてよいかどうかは、量的なリサーチ結果と照合して判断することが必要となる。
2)顧客サーベイ
アンケート用紙を作成し、サンプル集団にアンケートに答えてもらい、分析解析し、統計的な傾向を掴もうとするものである。
アンケート項目の設計・サンプル設定・分析解析設計がしっかりしていないと意味を持たなくなってしまう。
このなかでも「比較検討ができるサンプルの設定」は重要である。たとえば、店舗・商品の利用者アンケートだけでは利用者の姿や評価・行動は分かるが、その結果をどう利用するのか?
「自店・自社は良く頑張っています、自社自店の強みを強化し、顧客ニーズや顧客から得られた問題点を改善していっている」・・・・よく聞くが、正しいとは言い難い。
ターゲット顧客層の利用していないユーザーはごく少数ならいいが、そんなケースはほとんど少ない。ターゲット顧客層の利用してないユーザーのの姿や評価・行動と、利用している顧客の姿や評価・行動とを比較分析し自店・自社のターゲット顧客層に対する戦略を見直すようなサーベイの設計が必要である。
もう一つ、質問項目にある範囲のこと以上には顧客理解できない。
多変量解析によって、隠れている顧客心理を掴むような分析を行うことが出来るが、それも設定された質問項目への反応の範囲内である。
顧客に関する洞察の他の顧客理解の手法を駆使して、質的に顧客のニーズや選好・行動にに関して深い洞察を得て、顧客サーベイという統計的アプローチで量的な検証情報を意思決定の材料とするべきである。
質的に顧客のニーズや選好・行動にに関して深い洞察を得ていない段階で顧客サーベイを行うと、顧客に関する浅い理解レベルの情報しか得られない。顧客サーベイは、大きな費用が必要となるものであるから、利用の仕方に注意が必要である。
3)デプス・インタビュー
これは、心理学的アプローチをベースにした個別面談の手法である。
顧客サーチ等で得られない購買行動の深い動機を、フロイト派やユング派などの心理学的アプローチ手法を活用し探ろうとするものである。
これを実施するには、専門的知識とトレーニングを積み熟練したインタビュアーでなければならない。
4)フィールド・サーチ
NYのエンバイオセル社のPaco Underhill(パコ・アンダーヒル)の「なぜこの店で買ってしまうのか」という書籍が2001年はじめに翻訳され日本でも多くの人に読まれている。
フィールド研究する文化人類学者のツールを利用し、顧客の購買行動を科学的に捉え販売の現場を改善していく手法を紹介した書籍である。
a)コンバージョンレート:来店客に対する実際に買物をした人の比率
b)Density check:どの売場に何人の客がいるか密度をチェック
c)買い物客の滞留時間:ほぼ買い物動線の長さに比例する
d)ブーメランレート:通路の端から端まで歩かなかった回数の割合
e)プロセス率:商品を見る回数・手に取る回数・クロージャー率
f)対応率:従業員と何らかの接触を持つ客の割合
g)店内メディア視認率
など観察・トラッキングなどによるデータ、店頭ヒアリングによって購買行動を科学的に捉え、ターゲット顧客層に合った売場が出来ているか・何を改善すべきか探り出すものである。
売りの現場を見ている人は多いだろう、本の内容もそう難しいものではない。しかし、実際にはターゲット顧客層を明確にし、問題意識を持って考えながら顧客行動を洞察しなければならない。
1)2)3)の組み合わせがマーケット・リサーチには多かった。ネッ
トアンケートも2)に属する。メーカー商品開発・マーケティング開発の領域が中心だったといえるだろう。
組織小売業は、出店調査をし店舗設計・ゾーニング・レイアウト・棚割りなど本部主導で行い、本部主導でPOSデータ等でマーチャンダイジングを実施・管理していることが多いだろう。
メーカー等のマーケティング戦略は、売りの完結する現場=店舗店頭には戦術として到達せず、組織小売業は既存店の収益不振に喘いでいる。
ターゲット顧客層の購買結果を分析し、ターゲット層にとって魅力ある店舗・売場をつくるのに大切な商品を明らかにし、フィールド・サーチでより顧客理解を深める必要があるだろう。
フィールド・サーチは、顧客第一主義のマーケティング戦略のシード(種)を発見することにも重要な役割を果たすが、実際に展開したマーケティング戦術の効果がどう現れているかを確認することが出来る。
販売の現場ではフィールド・サーチはマーケティング力を強化するのに有効なものだろう。
フィールドワークは売りの現場を調査し、そこから得られた問題を明確な課題として整理し、さらに、それをレポートにまとめることが課題です。
現場担当レベルでのフィールドワーク は、高度な内容のものを求めるものではなく、テーマを明確にし顧客理解を深めマーケティング戦術としてなすべきことを発見し、実施し、効果の確認・さらなる戦術展開の改善・工夫を重ねることである。いかに机上のいい戦略も、現場の戦術展開力・士気が伴わなければ空論に過ぎない。
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●戦術が共有化されてこそ戦略たる=戦術の共有化は顧客・マーケットポテンシャル
の類似する現場間で有効たり得る!
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